足のむくみに漢方薬は効きますか?
「むくみが気になって市販の漢方薬を飲んで、2、3日前からパンパンに腫れてきました。今は足首がなくなったみたいになっているので、これはダメだと思って受診しました。」
このようなご相談を受けることがあります。むくみは、日常の不調として見過ごされがちですが、体の内側からのサインであることも少なくありません。東洋医学では、むくみの原因を「水(すい)」の代謝やめぐりの停滞ととらえ、体質や背景を含めて考えます。
むくみは、水の代謝のバランスの乱れ
— 単なる水分の取りすぎだけではありません —
東洋医学では、むくみのことを「水毒(すいどく)」や「水滞(すいたい)」などと表現し、体内の「水」の巡りが滞った状態と考えます。ただ水分をとりすぎたから、というだけではなく、次のような要因が複雑に関係していることがあります。
・胃腸の機能が弱く、水分の処理がうまくできない
・体を温める力が不足している
・気の巡りが悪く、水が停滞しやすい
・長時間の立ち仕事や座りっぱなしによる血流の悪化
・ストレスや加齢による巡りの低下
などが考えられます。
また心臓疾患、腎臓病、甲状腺機能低下症、リンパ浮腫などの疾患が原因となっている場合も考えられますので、早めの受診をお奨めします。
自己判断で購入した漢方薬が効かない」のはなぜ?
— 体質に合わないと、かえって悪化することも —
自己判断で漢方薬を試してみたけれど、効果を感じられなかったというケースでは、そのお薬の性質と現在の体の状態がうまくかみ合っていなかった可能性があります。
東洋医学では「同じ症状でも人によって原因が異なる」と考えます。
たとえば
・冷えが強くて水がたまっている場合
・胃腸の働きが弱く、吸収・排泄のバランスが乱れている場合
・気や血の巡りが悪く、余分な水が排出されにくくなっている場合
といったように、むくみの背景にある体の状態を見極めることが大切です。表面的な症状だけで判断して薬を選んでしまうと、かえって体に負担をかけてしまうこともあります。
「パンパンに腫れている」状態は要注意
足首がわからないくらいにまで腫れてしまったという場合は、日常的なむくみの範囲を超えている可能性もあります。漢方では、体のバランスが大きく崩れて水分の代謝が極端に悪化していると考えます。
また、東洋医学的な視点からの判断に加えて、西洋医学的な検査による判断も必要な場合があります。心臓、腎臓、肝臓などの機能が関わるむくみもあるため、早めの受診をお奨めします。
一人ひとりの体に合わせた対応を
— 「水」の巡りを整える東洋医学のアプローチ —
むくみの改善には、「なぜ水が溜まってしまうのか」を体質や生活習慣、職場環境なども考慮して、体全体のバランスの乱れを整える処方を検討します。
水戸部クリニックでは、ご相談しやすい環境づくりをスタッフ一同で心がけております。
お気軽にご相談ください。
医師の処方による漢方薬は、健康保険の適用になります。