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.皮膚症状

ステロイドを中止したい、治りにくい方に

2025年11月 6日 (木)

こどもの乾燥肌に体の発達に合わせた漢方ー**

「お風呂上がりに肌がカサカサして、すぐにかゆがります。」

「冬になると、すねやほっぺたが白く粉をふいたようになります。」Ky27_01_20251104112701

 秋から冬にかけては、空気の乾燥によって肌のうるおいが失われやすい季節です。

これからの季節は、こどもの乾燥肌でお悩みのご相談が増えてきます。

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こどもの皮膚は「未完成のうるおいバランス」

 東洋医学では、皮膚も体の一部として、内側の「気(き)」「血(けつ)」「津液(しんえき)」といった体のめぐりやうるおいに支えられていると考えます。

 こどもの体はまだ成長の途中であり、これらの働きが十分に整っていないため、皮膚のバリア機能も未成熟です。そのため、外気の乾燥や寒さといった刺激を受けやすく、肌がカサついたり、かゆみが出たりしやすい状態になりやすいのです。Ky27_05_20251104111501

 また、汗のかき方や体温調節の仕組みも大人とは異なるため、肌のうるおいを保つ力にも差があります。大人と同じケアでは追いつかないこともあります。

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体質と季節に合わせた漢方的な整え方

 漢方では、皮膚の乾燥だけをみるのではなく、「なぜ乾燥しているのか」という体の内側の状態を重視します。

 たとえば、体のうるおいが不足しているタイプ、血のめぐりが滞っているタイプ、あるいは冷えによってめぐりが悪くなっているタイプなど、お子さんによって原因が異なります。

 同じ「乾燥肌」でも、体質や年齢、季節によって用いる漢方薬が異なるのはこのためです。Ky27_04_20251104111601

 特に成長期のこどもでは、体のバランスが日々変化するため、「今の状態(証)」に合った漢方薬を選ぶことが大切です。

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皮膚の状態は、体のサインPhoto_20251104105601

 こどもの皮膚の乾燥は、単に外からの刺激だけでなく、体の内側のバランスを映すサインでもあります。

 食欲や便通、睡眠の状態などと合わせて観察することで、皮膚だけでなく体全体の調子を整えていく手がかりになります。

 保湿やスキンケアで一時的に改善しても、すぐに再発をくり返す場合は、体質そのものを見直すタイミングかもしれません。

 漢方薬を用いて、内側から皮膚のうるおいを支える治療を検討されるのも良いでしょう。

秋冬の乾燥が気になる季節

 お子さんの肌の状態をやさしく見守りながら、体の内側から整えるケアを考えてみませんか。

 漢方薬は、生後2、3か月くらいのお子さんから服用できます。

【こどもの乾燥肌・サメ肌に漢方】

ご相談はお気軽に

 水戸部クリニックでは、ご相談しやすい環境づくりをスタッフ一同で心がけております。Icon_medical_woman01_20251104112601

 お気軽にご相談ください。

 医師の処方による漢方薬は、健康保険適用です。

【新潟の漢方外来・水戸部クリニック】

2025年11月 4日 (火)

秋冬の乾燥とかゆみ  季節で変わる体と漢方の見直しー**

「今まで調子がよかったのに、体が乾燥してかゆくなってきました。

 特にフケが増えて、寝ていて掻いています。」Ky40_08-1_20251104103401

 秋から冬にかけては、空気が澄んで心地よい反面、乾燥が気になる季節でもあります。

 東洋医学では、このような外気の乾燥(「燥邪(そうじゃ)」と呼ばれます)が私たちの体に影響を与え、特に皮膚のうるおいを奪いやすいと考えます。

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 東洋医学から見た「乾燥」と「かゆみ」Photo_20251104105601

 東洋医学の観点では、皮膚は体内の「うるおい」や「栄養」によって絶えず養われていると捉えます。これらは「陰(いん)」や「血(けつ)」といった言葉で表されます。

 季節の変化(燥邪の影響)や体質的な要因によって、この「うるおい」や「栄養」が不足してくると、皮膚を滋養して整えることができなくなってしまうことがあります。

 その結果、皮膚がカサカサと乾燥したり、フケが増えたり、夜間や体が温まったときにかゆみが強まったりすると考えられます。

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症状の変化と漢方薬の見直し(変方)

 これまで体調が良かったときに用いられていた漢方薬は、その時点での体質や症状の状態(「証(しょう)」)に適していたことでしょう。

しかし、季節の変わり目から次のような変化を感じている場合は、体の状態(証)が以前とは変化してきているサインかもしれません。これは皮膚症状だけではなく、他の体調や精神面の変化などに関しても同様に考えた方が良い場合が多いです。

◇皮膚の乾燥が強くなってきたKy27_06-3_20251104104101

◇フケが目立つようになった

◇これまでになかった、または強まった「かゆみ」が出てきた

 漢方では、このような変化した「証」に合わせて、用いる漢方薬を調整・見直すこと(「変方(へんぽう)」)を非常に重視します。

 秋から冬にかけて、これまでとは異なる皮膚の症状 特に乾燥やかゆみが気になり始めた方は、現在の「証」により適した漢方薬があるかどうか、漢方に詳しい医師や薬剤師にご相談されてみるとよいでしょう。

【乾燥肌に漢方】

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 次回は、「こどもの乾燥肌と漢方処方について」のお話を掲載します。

2025年10月17日 (金)

肌のかゆみ・くすみ・しみ 秋に整える漢方ケア ―**

 過ごしやすい日が増え、秋の訪れを感じる今日この頃。

 しかし、夏の疲れが出やすいこの時期は、お肌にとっても過酷な季節の始まりかもしれません。

 鏡を見るたびに、

「なんだか顔色全体がくすんで見える…」Ky26_13

「夏に浴びた紫外線のせい? シミが濃くなった気がする…」

と感じていませんか?

 さらに、空気の乾燥とともに、

「肌がカサカサしてつっぱる」

「理由もなくかゆみや赤みが出る」

といったお悩みも増えてきます。

 中には、「夏にできたブツブツや湿疹がなかなか治らず、長引いている」と、憂うつな気分で過ごされている方もいらっしゃるかもしれません。

 こうしたつらい秋の肌トラブル。

実は、漢方の考え方で体の内側から整えることで、健やかな肌を取り戻すお手伝いができるかもしれません。

― 秋の肌荒れとくすみ ― 漢方で整える内側からのうるおい ―

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✨簡単に読みたい方へ

 夏の強い日差しや汗の刺激で疲れた肌に、秋の乾いた空気や朝晩の冷え込みが加わる季節。肌のかゆみ、しみ、くすみなどのトラブルが増えてきます。

 東洋医学では、肌は体の「内側の状態」を映す鏡と考えます。肌荒れやくすみは、乾燥や血行の悪さだけでなく、体の中の「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」のバランスの乱れが関係していることもあります。A303_080_20251014122101

 冷えや疲れ、胃腸の不調、睡眠不足などが続くと、肌に必要なうるおいや栄養が届きにくくなり、乾燥やかゆみ、しみ・くすみが目立つようになります。

 漢方では、外側から保湿するだけでなく、内側からうるおいと血流を整えることで、肌の力を高めていきます。体質や季節に合わせて、からだの内側から「めぐり」と「うるおい」を整えることが、健やかな肌への第一歩です。

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✨ 詳しく知りたい方へIcon_medical_woman04_20251014115401

 秋から冬にかけては、気温と湿度の低下により「乾燥(燥邪:そうじゃ)」の影響を受けやすい時期です。乾燥は皮膚のうるおいを奪うだけでなく、体内の「血」や「津液(しんえき:体をうるおす成分)」を消耗させ、肌のバリア機能を低下させます。

 東洋医学では、皮膚の健康は「肺」「脾(ひ)」「肝(かん)」の働きと関係するとされています。

・肺:皮膚や毛穴をコントロールし、うるおいを保つ働き

・脾:食べたものをエネルギーや血に変え、肌に栄養を届ける働き

・肝:血の流れを調整し、ストレスや自律神経のバランスを整える働き

 夏の疲れや紫外線の影響が残る秋には、これらの働きが一時的に乱れやすく、肌のかゆみ、赤み、くすみ、しみといったトラブルが起こりやすくなります。

 東洋医学的な治療では、症状の出ている部位だけでなく、体の内側の状態を丁寧に見ていきます。乾燥が強い方には「津液」を補う方向を、血行が悪い方やくすみが目立つ方には「血」の巡りを改善する方向を、またストレスや疲労が影響している方には「肝」や「脾」を整える方向を考えます。

 このように、肌のトラブルを「外から保湿する」だけでなく、「内側から整える」ことを重視するのが漢方の特徴です。

 季節の変わり目に起こりやすい肌トラブルは、体のバランスを整えるチャンスでもあります。かゆみやくすみ、しみが気になる方は、体の内側からのケアを見直してみるのもおすすめです。A303_061

【美肌漢方スキンケア】

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2025年9月17日 (水)

陰部の乾燥、かゆみ、疲れるとヘルペスになるに漢方

「陰部の乾燥が気になります。

 最近ヒリヒリするようになっています。A307_047_20250916162401

 それから疲れると陰部ヘルペスになります。生理前になると、2、3か月に1回くらいで再発しています。

 更年期だと思いますが、気分がズーンと沈むときがあります。」

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デリケートゾーンの乾燥や、それに伴うヒリヒリとした不快感にお悩みではありませんか。

 また、疲れがたまったり、ホルモンバランスが変化しやすい時期に、同じトラブルを繰り返してしまう方も少なくありません。

 年齢を重ねる中で、そうした身体の変化とともに、理由もなく気分が沈んでしまう…。そんな心と身体の「ゆらぎ」を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

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心と身体のゆらぎに寄り添う漢方の考え方Photo_20250916162901

 上記のようなお悩みは、決して特別なことではありません。特に女性の身体は、年齢とともにさまざまな変化を経験します。漢方の世界では、そうした不調を「心と身体からのサイン」と捉え、その根本にあるバランスの乱れに目を向けます。

「うるおい」と「エネルギー」の深い関係

 漢方では、私たちの身体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という3つの要素がバランスを取りながら巡っていると考えます。

 デリケートゾーンの乾燥や肌トラブルは、身体全体をうるおす「血」や「水」が不足しているサインと考えることがあります。うるおいが不足すると、肌が乾燥しやすくなるだけでなく、外からの刺激にも敏感になりがちです。

 また、繰り返すトラブルや気力の低下は、生命活動のエネルギー源である「気」の不足や滞りが関係していると考えられます。「気」には、身体を外敵から守るバリアのような働きもあるため、不足すると疲れやすくなったり、同じトラブルを繰り返しやすくなったりするのです。

気分の落ち込みも、身体からのメッセージ

 理由のない気分の落ち込みや、ズーンと沈むような感覚も、「気」の巡りが滞っているサインかもしれません。「気」は、気持ちを前向きに保つ働きも担っているため、その流れが滞ると、気分もふさぎ込みがちになると考えられます。

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 このように、乾燥、繰り返すトラブル、気分の落ち込みは、それぞれ別の問題のように見えても、漢方の視点から見ると「気」や「血」の不足や滞りといった、共通する根っこから生じている可能性があります。

 漢方では、今ある症状だけに目を向けるのではなく、お一人おひとりの体質や生活習慣、心と身体の状態を考慮して、全体のバランスを整えることを大切にしています。

【陰部のかゆみに漢方】Icon_medical_woman04_20250916162801

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2025年9月 8日 (月)

掌蹠膿疱症の関節炎 ― 皮膚と関節の不調に寄り添う漢方 **

 「掌蹠膿疱症に伴う関節炎のため、お薬による治療を続けておりますが、肩、胸の中心、手首、膝、腰など、体のさまざまな部位に痛みを感じています。A307_062_20250903113101

 痛みの強さは日によって異なり、2~3日の周期で痛む場所が変わることもあります。特に左側に強く症状が出る傾向があり、痛みが強い日には日常の家事さえままならず、つらく感じることがあります。」

掌蹠膿疱症の関節炎に対する東洋医学の視点

 皮膚の症状に伴って現れる関節の痛みは、日常生活に大きな影響を及ぼします。西洋医学的な治療と並行して、少しでも症状を和らげたいと考え、東洋医学に関心を持たれる方も少なくありません。ここでは、漢方がこのような体のサインをどのように捉えるかについてご紹介します。

痛みの原因は「流れの滞り」

 東洋医学には「不通則痛(ふつうそくつう)」という基本的な考え方があります。これは、気(き)や血(けつ)といった、体を巡るエネルギーや栄養の流れが滞ると、その場所に痛みが生じるという考えです。関節の痛みも、気血の巡りが悪くなることで起こるととらえます。

痛みと皮膚の状態から体質を探るPhoto_20250903113401

 漢方では、単に「痛む場所」だけに注目するのではなく、なぜその部分で滞りが生じているのか、その背景にある原因を重視します。

例えば、次のような視点で体をみていきます。

・体内の「熱」や「湿」の存在

 皮膚に膿疱ができたり、関節に熱感を伴う痛みが出たりする場合、体内に余分な熱や湿(しつ)がこもっているサインと考えることがあります。

・痛みの性質

 ズキズキするのか、重だるいのか、冷えると悪化するのか、あるいはストレスで強まるのかなど、痛みの特徴から体の状態を判断します。

全体のバランスを整えるという考え方

漢方のアプローチは、体質や状態を見極め、体全体のバランスを整えることを目的としています。

 気血の巡りを良くして滞りに働きかける方法、体内の余分な熱や湿を和らげていく方法、あるいは体の根本的な力を補い、不調が起こりにくい体づくりを目指す方法など、その方の状態に合わせて多様な考え方があります。

 同じ「関節の痛み」であっても、体質によってアプローチは異なります。ご自身の体質を知り、つらい症状と向き合うための一つの視点として、東洋医学を取り入れるのもよいかもしれません。

 西洋医学の治療と併用できる点も、漢方の魅力のひとつです。

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 掌蹠膿疱症の皮膚炎の漢方治療のご相談も受け付けております。

【掌蹠膿疱症に漢方】

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2025年9月 4日 (木)

湿疹をくり返すのはなぜ? ― 漢方で見直す体のバランス **

「1年ほど前から、つらい湿疹に悩んでいます。

 塗装の仕事をしており、おそらく仕事で使うインクや溶剤が原因ではないかと指摘されました。ですが、この仕事はこれからも続けていきたいのです。

 はじめは首や胸、手首のあたりだけだった湿疹が、今では全身に広がってしまいました。病院で処方されたステロイドも効きにくくなってきており、本当に困っています。」A307_032-2_20250901122701

漢方が考える湿疹の原因とは?

 漢方では、皮膚は「内臓の鏡」と考えます。肌に現れるトラブルは、皮膚だけの問題ではなく、体の中にある不調のサインと捉えるのです。

 ご相談のケースのように、特定の化学物質などに触れることで起こる肌トラブルの場合、漢方では外からの刺激物(邪気:じゃき)が体のバリア機能を突破して影響を及ぼしていると考えます。

特に体質的に次のような状態があると、症状が出やすいとされています。

・体のバリア機能の低下

 外からの刺激や異物から身を守る力が弱まると、邪気が侵入しやすくなり、皮膚トラブルにつながると考えられます。

・体内の「熱」や「湿」のこもり

 余分な熱(炎症)や不要な水分(湿)が体に滞ると、かゆみや赤み、ジュクジュクとした湿疹の原因となります。食生活の乱れやストレス、疲労もこの状態を悪化させる要因になります。

漢方のアプローチ:「外に出す力」と「内を整える力」Photo_20250901132401

 漢方では、症状を抑えることに加えて、根本的な原因となっている体内のバランスを整え、「肌トラブルが起こりにくい状態」をめざします。

主に次のような考え方で対応します。

・体の解毒機能を助ける

不要なものを汗や尿、便とともに排出する力をサポートし、皮膚の炎症を和らげていく考え方です。

・過剰な「熱」を冷ます

 赤みやかゆみが強いときは、体内に「熱」がこもっているサインと捉えます。この熱を穏やかに冷ますことで、炎症を鎮めることを目指します。

・バリア機能を高める

 体表を守るエネルギーを補い、外からの刺激に負けない肌づくりをめざします。

・血(けつ)や水(すい)の巡りを整える

 血の流れや水分代謝を整え、皮膚の新陳代謝を促すことで、体質の改善につなげていきます。

【湿疹・皮膚炎に漢方】

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2025年8月24日 (日)

手袋で手荒れに漢方の力を

「手の湿疹がひどく、手がガサガサです。水疱ができることもありますが、手のひらの皮膚の奥深くで潰れてしまうような感覚です。

 仕事で手袋を着用するため、手首のあたりまでかぶれが広がってしまいます。Ky26_20-5_20250823033301

 強いかゆみから絶えず掻いてしまうことで、手のひらの皮膚がゴワゴワと厚くなってしまいました。」

 手の湿疹や手荒れがひどく、ガサガサや水ぶくれ、かゆみを伴うと、とてもつらいですよね。

 漢方では、体の内側から整えていくことで、回復を後押しすることを考えます。

~*~*~*~

漢方から見た手荒れの原因Photo_20250823033401

 漢方では、皮膚のトラブルを「体の中のバランスが崩れたサイン」としてとらえます。手荒れの場合には、いくつかの要因が重なっていると考えられます。

・湿熱(しつねつ)

 水ぶくれやじゅくじゅくは、体の中にたまった余分な水分と、炎症の熱が合わさった状態です。手袋の蒸れも影響して症状を悪化させます。

・血虚(けっきょ)

 皮膚がカサカサしてゴワゴワしてくるのは、肌に必要な栄養や潤いが足りない状態です。そのため、皮膚が乾燥しやすくなり、厚くなってしまいます。

・風邪(ふうじゃ)

 強いかゆみには「風」という外からの刺激のような要因が関わっているとされます。かゆみが急に強まったり広がったりするのが特徴です。

 まとめると、肌に潤いが足りない状態(血虚)をベースに、湿熱や風邪が加わることで症状が悪化していると考えられます。

漢方のアプローチ

 漢方では、症状の表れ方だけでなく、体質に合わせた処方を検討します。

・かゆみや炎症が強いとき

体にこもった熱や余分な水分を取り除き、かゆみを落ち着けることを目指します。

・乾燥や皮膚の厚みが気になるとき

 不足している栄養や潤いを補い、皮膚をやわらかく整えていくことを目指します。

まとめ

 手の湿疹には「湿熱」「血虚」「風邪」といった複数の要因が関わっていることがあります。

【手湿疹に漢方】

 漢方では、外に出ている症状だけでなく、体の内側からバランスを整えることを大切にしています。

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2025年8月18日 (月)

湿疹のない頭皮のかゆみに漢方

― 湿疹がないのに頭皮がかゆい ―

 「頭皮がかゆくて、かゆくてつらいです。ブツブツもなくて、湿疹のようなものは見当たらないのに、ひたすらかゆいんです。

掻きすぎて、その部分の髪が薄くなっています。」Ky412_20250818170601

 このようなお悩みは、季節を問わず寄せられることがあります。シャンプーを変えたり、保湿を工夫したりしてもなかなか改善しない場合、そのかゆみは体の内側の状態と関係しているのかもしれません。

 今回は、目に見える湿疹がないのに起こる頭皮のかゆみについて、漢方の視点から考えてみたいと思います。

~*~*~*~

なぜ、ブツブツがないのにかゆいの?

 皮膚は「内臓の鏡」とも言われ、体の状態が現れやすい場所です。特に頭皮は体のてっぺんにあり、血流が滞りやすく、またストレスの影響を受けやすい繊細な部分です。

 一見原因が分からないかゆみの背景には、「乾燥肌」「ストレス」「更年期」といった要因が関わっていることがあります。

~*~*~*~

1. 乾燥肌と漢方の「血虚(けっきょ)」「陰虚(いんきょ)」

 肌の潤いが不足して乾燥すると、外からのちょっとした刺激でも敏感に反応し、かゆみを感じやすくなります。

漢方では、体を潤し栄養する「血(けつ)」や「陰(いん)」が不足した状態を、それぞれ「血虚」や「陰虚」と呼びます。これらの傾向があると、肌や頭皮が乾燥してかゆみが出やすいと考えられます。

例えば、

・肌全体がカサカサしやすい

・髪のパサつきや抜け毛が気になる

・爪が割れやすい

といったサインがあれば、血虚や陰虚と関連している可能性があります。

【頭皮湿疹・フケ・乾燥に漢方】

2. ストレスと漢方の「気滞(きたい)」

 精神的なストレスは自律神経に影響し、血行不良を招くことがあります。頭皮の血流が滞ると、栄養が十分に届かず、かゆみにつながる場合があります。

 漢方では、ストレスにより「気(き)」の流れが滞る状態を「気滞」と呼びます。気の巡りが悪くなると、心身のさまざまな不調の一つとして頭皮のかゆみが現れることがあります。

・イライラしやすい、気分が落ち込みやすいKy40_08-1_20250818170801

・胸や喉がつまった感じがする

・寝つきが悪い、眠りが浅い

といった症状も気滞と関連することがあります。

【ストレスに漢方】

~*~*~*~

3. 更年期と漢方の考え方

 更年期は、女性ホルモンの変化によって自律神経や皮膚の状態に影響が出やすい時期です。頭皮のかゆみも、その一つのあらわれとして感じられることがあります。

 漢方では、加齢に伴って生命活動の基盤である「腎(じん)」の力が弱まる状態を「腎虚(じんきょ)」と考え、これが更年期の不調の背景にあるとされています。さらに、ホルモンバランスの変化は「血虚」や「気滞」とも関わるため、複合的に影響し合うと考えられます。

【更年期症状に漢方】

~*~*~*~

漢方の目指すところ

 漢方では、かゆみを一時的に抑えるだけでなく、「なぜかゆみが起きているのか」という背景を重視します。Photo_20250818170801

 不足している「血」や「陰」を補ったり、滞っている「気」の流れを整えたりすることで、体全体のバランスを回復させ、かゆみが起こりにくい状態を目指していきます。

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2025年8月10日 (日)

プール後に皮膚がかゆくなるに漢方

プール後のかゆみ、漢方という選択肢

― 体の中から考える肌ケア ―**

 夏のプールは子どもたちの楽しみのひとつ。でも、乾燥肌のお子さんにとっては、かゆみとの戦いが始まる季節でもあります。

 「うちの子は乾燥肌で、プールの後のかゆみがひどく、掻きむしって血が出てしまいます。本当に可哀想で…。」Ky27_04_20250806105701

 こんなご相談が増えるのも、この時期です。プールの塩素は肌のバリア機能を弱め、乾燥やかゆみの原因になります。漢方では、こうした肌トラブルを「体質」から考え、内側から皮膚を整えることをめざします。

漢方が考える、かゆみの原因

 漢方では、肌は「内臓の鏡」とされ、体内バランスの乱れが肌トラブルにつながると考えます。特にアトピー肌、乾燥肌のお子さんには、以下のような体質が関係することがあります。Photo_20250806105701

・血虚・陰虚タイプ(うるおい不足)

 肌に潤いを届ける力が弱く、もともと乾燥しやすい体質。刺激に敏感で、かゆみが出やすくなります。

・湿熱タイプ(熱と湿気がこもる)

 体に余分な熱や湿気がたまり、ジメジメとしたかゆみや赤みが出やすくなります。冷たい飲み物や甘いものの摂りすぎも影響します。

 プールの塩素など外的刺激が、こうした体質と重なることで、かゆみが悪化しやすくなります。

など、ひとり一人体質は異なります。

【湿疹・皮膚炎に漢方】

漢方では

 漢方では、「かゆみをくり返さない体づくり」を目指します。体質に合わせて、潤いを補ったり、余分な熱を取り除いたりしながら、肌のバリア機能を整えることを考えます。

 また、食事や睡眠、汗のかき方など、生活習慣もヒントになります。一人ひとりのお子さんの体質に合わせて、環境や季節変化などによる皮膚の変化などに対応して処方を検討しております。

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2025年8月 8日 (金)

10年前からのじんましん、かゆみに漢方

「10年前から体がかゆいです。

 夜になると背中や腿(もも)の辺りに膨れたじんましんが出ます。Ky27_04_20250730175101

 抗アレルギー薬を飲んで軟膏を塗っていますが、かゆくてたまりません。」

 このようなご相談をいただくことがあります。じんましんが慢性化している方の中には、日常生活に支障をきたすほどのかゆみや不快感に悩まされている方も少なくありません。

 漢方では、じんましんそのものの症状だけではなく、なぜ繰り返し出てくるのか、その背景にある体のバランスの乱れに目を向けて治療を考えていきます。特に「気(き)・血(けつ)・水(すい)」のめぐりや、体の熱・冷え・湿気などの状態を重視します。

 たとえば、体に余分な熱や湿気がこもりやすい方、胃腸が弱って老廃物の代謝がうまくいっていない方、ストレスなどで自律神経が乱れやすい方など、体質や生活環境によってアプローチが異なります。

 また、夜に悪化するタイプのかゆみには、体の「陰(いん)」が消耗しているサインが隠れていることもあります。睡眠や精神状態との関係も含めて、丁寧に体全体の状態を見ながら、自然なかたちで整えていくのが漢方の特徴です。

お薬の効果を感じにくい方や、かゆみをくり返すことでお悩みの方には、体の状態や生活環境をふまえた幅広い治療法を一緒に考えていきます。必要に応じて、一般的な抗ヒスタミン薬などの併用も行いながら、体質や症状に応じた漢方的なアプローチを取り入れることも可能です。

【慢性じんましんに漢方】Photo_20250730181101

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